引っ越しという人生の岐路

昨日、奥さんの両親の引っ越しを手伝ってきました。

昔、引っ越しの仕事をしたことがあるので、昔とった杵柄ではないけど、まぁまぁの感じでやってきた。

基本は引っ越しの業者さんがやってくれるので、そんなにやることはないのだけど、自分の気合いの入っている格好に、業者さんから気合い入ってますねて、言われるぐらいだ。

昔、実際やってたときはキツかったけど、それなりに勉強になることもあったし、現に今、その時の経験が生かされている。

その中で、何故か忘れられないことがある。

その日の作業は、高級そうなマンションだった。

お客さんは30代前半ぐらいの若い夫婦、旦那さんは、爽やかな感じで、簡単に言うとかなり格好いい。

奥さんも、ナチュラルメイクで、多分見た人は、美人だと思えるほど綺麗だった。

家具など、趣味もよく高級そうな物ばかりだった。
一通り荷物も運び出し、小物を出していると、床に一枚の写真が落ちているのに、気がついた。

本当は拾ってみるなんて、プライバシーに関わるので、しては行けないのだけど、拾ってみてしまった。

奥さんが同僚とだろうか、三人並んで、カメラに向かって笑ってる写真だった。

自分はそんなに詳しくないけど、奥さんの着ている制服は、飛行機の客室乗務員の制服に思えた。

あーなるほど。

それなら奥さんが美人なのもうなずける。

大きなお世話だとは思ったけど、適当な袋の荷物に、さり気なく入れといた。

荷下ろしの現場にきて、その建物に、ちょっと戸惑ってしまった。

どこにでもあるようなアパートで、さっきのマンションと比べて、お世辞にも綺麗で、広いアパートとはいえないところだった。

自分はてっきり、もっと高級で広い家に引っ越すのかとばかり思っていたからだった。

人の人生、詮索する気はないけれど、きっと何かがあってことは、確かだった。

それで写真が無造作に床に落ちていたのも、なんだかうなづける。

あー。本当余計なことしちゃったな。
ひとり、後悔していた。

でも、旦那さんも、奥さんも部屋に荷物を入れるにつれ、広いマンションから、狭いアパートに入れるのだから、結構パンパンになる。

それでも二人は、笑いながら、やっぱり一杯になっちゃったね。と言っていたけどなんだか明るかった。

人は生活の水準をあげることはよくても、下げるのは中々決断ができない。

でも、それでも決断し明るく二人で笑っている。

そう、あの写真に写っている、あの時の奥さんの笑顔と一緒だった。

他人事なのになんだか安心している自分がそこにいた。