東京都検査

3月は年度末。

仕事の納期が3月おわりというのがよくあり、うちの会社では繁忙期になる。

今日は特に検査の日だった。

納品した後に検査員がチェックするのだ。

大分昔に検査に同席したことがあるんだけど、ピリピリした空気と、緊張感があり、あまりすきではなかった。

でもそんなことを言ってられない。

準備をして出かける。

検査は東京都の担当者と検査官。

うちの会社から業務責任者の上司と自分と2人。
論上司は業務のことはほとんど知らない。形式だけだ。

100万ぐらいの仕事だからそこまで物々しい感じはないが緊張感はある。

検査官が入り検査が始まった。

まずは納品物の確認。
報告書、正副二部。
納品データの正副二部。DVDとハードディスクが各二つになる。

物は揃っているのでOK!

次は作業件数。
今回はトータルの件数を記載してなく、3つの件数を検査官が電卓で計算していた。トータル件数は当初より多かったため問題なかった。

もし件数が足らなかったら問題になる。
でも件数が多くても問題にならない。
そこがなんだか納得いかないが仕方がない。

次に機能が満足いく内容なのかの確認。

ここで問題が発生した。
説明は自分がしてるんだけど、東京都の担当者が訳の分からないことをいいだす。

一気に緊張感が高まる。

何とかやり過ごしまた。また説明し始めると、

あれ、息苦しい。

声がか細くなっていく。

言葉が口から出てこない。

今思えばこの病気になってから検査をやったことがない。

でも、もう後戻りはできない。

思い切って話すことを辞めた。

そして意識的に呼吸する。

時間は一瞬だったけど自分には長く感じた。

他の3人に変に思われてないか、それだけが気がかりだったが仕方がない。

沈黙の後、声を出してみた。

声がでた!いける。

その後は何とか説明して一段落していると、検査官から抜き打ちでチェックが入る。

台帳を持ってきて、無作為にここのページパソコンに出してくださいと指示が飛んでくる。

そのページまでのアクセスの課程を説明して該当ページを表示させた。

また、検査官から無作為なページの表示が来る。

またさっきと同じ事をして見せた。

検査官から。

いいでしょう。検査合格とします。

のりきった。安堵してありがとうございます。と上司とふたりで頭を下げた。

思い出してみると、この検査の前は、もう5年以上も前に名古屋でやった検査だった。
物件の受注金額は今日の十倍以上だった。
病気になって、もう昔ほどの仕事はできないけれど、今日の乗り切った検査はいい経験になった。

でも、声がでなくなったときは流石に焦った。