秋口になると、店の入り口に肉まんを蒸かす機械が登場する。
小学校の頃はそれはそれは、贅沢な食べ物だった。
確か値段は80円だったと思う。
今みたいにいろんな種類もなく、肉まん、あんまん、カレーまんの三種類だった。しかもカレーまんは新参者だったような気がする。
さっきかなり久し振りに肉まんと、カレーまんをコンビニで買って食べたけど、何か感動がない。
何だろう。味はよくなっているのに、美味しく思わない。
あー。なんか忘れちゃったんだろうな。
小学校の頃は100円握りしめて、買いに行っていた。
蒸し器のドアを開けると、肉まんの匂いがして、かなり食欲をそそられる。
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肉まんの好みに派閥があり、肉まん派、あんまん派、カレーまん派に別れる。
あんまんは、かなり玄人好みだ。
値段は同じなのに、肉が入っていないのが、なんとなく許せなかった。
でも寒いときに食べると、あんこが暖かいので、体が温まるので一石二鳥だ。
カレーまんは今ほど、本物志向ではなく、風味だけだったような気がするけど、それでも美味しかった。
肉まんは王道なので、今更語る必要はないだろう。
どの味でも、空腹の時食べるとかなり美味しかった。
それなのに今は美味しくも思わなくなってしまった。
何かを失ってしまったような気がする。
でも、80円で買ったときの感動は失わないだろう。大切な思い出だから。