去年から米が値上がり、5kgあたりの値段が倍になっている。これにはきっと値段を上げている(下げない)当事者がいるはずだ。その答えを求めてある1冊の書籍にたどりついた。

三橋貴明氏が執筆した。「亡国の農業改革」読了後の感想は帯にも書かれている、日本ほど農業を保護していない主要国はない。に尽きる。
三橋氏の論で「どこかが黒字になると、どこかが赤字になる」と言っている。これは実に明解な話である。
この論を農業にあわせると。農家が赤字で米を出荷すると消費者が黒字になる。農家が黒字になると消費者が赤字になる。これは農家が赤字を被ることで日本の米の価格が今まで決まっていたことを意味する。
それでは米の価格が高くなったのは米農家の責任なのかというと、話はそれほど単純な話ではない。
この本では日本の政府が行ったいくつかの国策とこれからの農業改革について書かれている。
まずは農家を保護してこなかった。どこの主要国でも農家に補助金が出ている、アメリカ。EUともに。EUは特に収入は補助金で賄われているほど高額だ。それに代わり日本の補助金は僅かでしかもその補助金の用途は、減反した場合の補助金(水田を減らすため)になる。このことでいかに日本の農家が保護されていないことがわかる。それにあわせ海外市場とは自分たちで付加価値をつけて競争しろ。と政府。(到底無理な話だ)
米の価格が高いという話になるとJA(農業協同組合)が米を貯めていて市場に出さないからという論調が多い。でもJAが日本の食料安全保障を守っているということを前提においてJAを批判している人は少ない。(過疎地ではJAの事業で生活が賄えている)
自分もそう思っていてJAが農家から安く米を買い取り、市場に流さずに価格が高騰するのを待っている。と自分も騙されていた。
だが、そもそもJAは非営利団体で互助会の様な存在であることを忘れていた。JAは地域に根付いた団体でしかも株式会社の様に営利を追求しない。赤字の地域を黒字の地域がカバーする互助会なのだ。JAは世界からの日本農業への脅威を食い止めている団体といっても過言ではない。先ほども書いたようにJAは非営利団体で互助会の意味合いが強い。
100歩譲ってJAが米を貯めて(値段を上げる)必要があるとしたなら、それは農家のためであり自分達の営利を高めるためではない。農家への買い取り金の精算は年2回あり、1回目は通常の価格(少し安い)。2回目が高く売れた場合の1回目の金額の差額が払われる。
農家に補助金を出さず、減反政策を続ける。農家はこのままではやっていけない。といつも通りの話で終わると思いきや、YouTubeのねずみチャンネルさんで「この問題ムズすぎ 米高騰 真の理由は これだ!」で気になる話があった。
JA共済連(保険事業)があるが、買収は現時点で不可能である。そこであがった話が、JAを株式会社化するという話だ。これはどこかで聞いた話と思われると思うが、郵政民営化と同じ話である。郵政を3つに分けて株式会社化した。これによって国民の生活は豊かになっただろうか。その反対と答える人は多いと思う。郵便代の値上げ。土日の配達中止。郵便事業だけでも不便になったことは多い(そもそも郵便事業は赤字)。それと同じことをしようとしているのが日本の政府だ。
米の価格が高いのはJAの責任だー!といい。JAの責任にして、JAを解体しろー!という。そしてJAを株式会社化してアメリカに売り渡す。これが政府の農業改革だ。
また。米の先物取引があり米の価格を市場で決めている。JAが農家から米を買って卸売業者や小売店に一俵15000円で卸しても、卸売業者が先物(堂島コメ平均)で27000円となっていればそちらの値段を参考価格にして市場で売るという話。米の先物取引はねずみチャンネルさんの動画で初めてしりました。
ここまでずらずらと書きましたが、国民の主食は紛れもない「米」でそれを作っている農家さんには補助金をだし、米を通常の価格でJAが買い取って、それを卸売業者が今までの値段(堂島コメ平均)を参考にせずに販売する。その他の何ものでもありません。今回は米ですが、その他の生産物に対しても同じ事が言えます。
「真の理由は政府の政策にある」
と同時に国民に安い外国米を購入させ、味に慣れさせるという話もあるようだ。
先ほどのねずみチャンネルさんで分かりやすく、詳しく解説していますので気になった方。米高くて買えねーよと思っている方。ぜひ見てください。先の三橋氏の書籍。2015年印発行(10年前)の「亡国の農業改革」と現在のねずみチャンネルさんが概ね同じ事を示している事に自分は驚きを隠せない。