心の隅々まで温かくなり涙した本に初めて出会いました。
時を遡ること5年前。YouTubeで「炎の講演家 鴨頭 嘉人さん」の動画を見ていました。気になる動画を見て自分の中に本質的な知識として取り入れていました。その内容は自身で行った新入社員研修でも使わせてもらっていました。
その鴨頭 嘉人さんが講演でこの本について話していました。
「原田マハさん天才です。この本を読んだ時に悔しくて、悔しくて涙がでました。俺が出すべきだった。」と話していました。
鴨頭 嘉人さんが絶賛していたこの本をすぐに買いました。そしていつもと通り5年間眠らせてしまうのです。

OL二ノ宮こと葉は、想いをよせていた幼なじみ厚志の結婚式に最悪の気分で出席していた。ところがその結婚式で涙が溢れる感動的なスピーチに出会う。それは伝説のスピーチライターの久遠(くおん)久美の祝辞だった。空気を一変させる言葉に魅せられてしまったこと葉はすぐに弟子入り。久美の教えを受け、「政権交代」を叫ぶ野党のスピーチライターに抜擢された!目頭が熱くなるお仕事小説。(裏表紙転記)
この抜粋を読んで恐らくみんさんが気になるワード「スピーチライター」という職業。自分もこの本で初めて知りました。
スピーチライターをネットで調べるとAIは。
【スピーチライターの仕事内容】
- 講演や演説、プレゼンなどの原稿を作成する
- 話し手の伝えたい内容を基に構成や内容を検討する
- 話し方の指導を行う
【スピーチライターの活躍の場】
選挙の街頭演説、年始の社長あいさつ、結婚式のスピーチ、冠婚葬祭の挨拶、 各種行事における挨拶。
【スピーチライターの活躍の背景】
- 2008年11月に行われたアメリカの大統領選で、若手のスピーチライターたちが活躍したことにより世界でもその存在が知られるようになった
- 2009年9月に生まれた鳩山政権の時に、スピーチライターが初めて政治の舞台に進出した
という様にスピーチに特化した職業です。二ノ宮こと葉もスピーチライターの世界で奮闘し、時には涙して自身が思う幸せを掴むお話です。(ちなみにこと葉が泣いている時は自分も泣いています)スピーチライターの仕事内容にある「講演や演説、プレゼンなどの原稿を作成する」ここが重要です。言葉は沢山の人の心を動かすもの。ここでは動かさなければいけないのです。
実は今思えばスピーチライターの様な事を高校時代に経験していました。何の機会だったか覚えていませんが、生徒会長のスピーチの原稿を作成しました。その当時はスピーチライターとは言わず、ゴーストライターと言われました。自身スピーチ原稿を作成するなど思ってもなく、やりたくもありませんでしたが、生徒会長からのお願いと、先生からの半ば強引な「やってみろ」という言葉で書き始める事になります。書き上がった原稿を本人に渡し、内容については特に話し合いなどはなく「あとはどうにでもなる」という生徒会長の言葉で自分の作業は終了したのです。
スピーチ当日。自分自身気が気ではありません。自分が書き込んだ原稿がどの様な反応をみせるのか。無責任な事は書いていないつもりですが、落ち着きません。生徒会長が登壇し一礼の後に読み上げます。
ペーパーを見ながらもスラスラと話ます。今となっては内容は全く覚えていませんが、少なからず不評ではなかったと感じています。
これには後日談があり、どこからかわかりませんがあのスピーチの原稿を書いたのが自分という事が関係者の中で広まり、この事で自分にある言葉が言われるようになります。「影の生徒会長」全く迷惑な話です。
もう一つ読んでほいいエピソードがあるのですが、高校生の当時、帰宅部の自分は帰宅部の溜まり場という茶道部の部室にいつも行っていました。自分だけではなくもうひとり友達も一緒に。その時顧問の先生が、いきなり自分が読んでいた小説を音読してみてと言われました。一瞬何なのことわかりませんが読みます。そしてもうひとりの友達も同じ箇所を音読します。それが終わると先生が「決まりね」と言ってもうひとりの友達に発表会の発表者をやってもらいます。かなり意味がわからずふたりともぽかんとします。簡単に説明すると高校対抗の発表会のメンバーに選ばれたのです。しかもこのふたりです。拒否はできない様です。
当日は朝早く自宅を出ても大会に間に合わないため、前乗りします。自分は発表者ではありませんが、緊張します。眠れません。多分友達の方がもっと緊張していたと思います。ちなみに自分は投影するスライド係です。当日発表会は、自分たちでも良かったとは思える内容ではありませんでした。しかも自分はスライドを1ページ飛ばす失態をします。終わって先生は良かったと言ってくれましたが何かやり切った感がでません。しかもスライドを1ページ飛ばした事をちくりと言われました。他の高校は自分たちで原稿を作成して入念に準備して来ています。完成度が違います。自分自身でもなるほどなと思う内容でした。そのはずです、他の高校は有名進学校で偏差値が違います。上から数えるのが早いか。下から数えるのが早いかその違いはありありと見せつけられました。
影の生徒会長も発表会もしかりスピーチはかなり難しいと言わざるえません。その時にスピーチライターがいるとどんなに心強いか。原稿を作るのも、スピーチするのも本人ですが、気づき、語引力が違います。人生でスピーチライターもどきになったり、本人になったり言葉の力を経験できたことは今思えば大きな経験になったと思います。
簡単な挨拶でもスピーチです。この本を読むことによって、結婚式の祝辞をする機会はないかもしれませんが、人前で話すことの意味と大切なことがわかると思います。
ここで本書に書かれている。スピーチの極意十箇条を書かせてください。
一 スピーチの目指すところを明確にすること。
二 エピソード、具体例を盛り込んだ原稿を作り、全文暗記すること。
三 力を抜き、心静かに平常心で臨むこと。
四 タイムキーパーを立てること。
五 トップバッターとして登場するのは極力避けること。
六 聴衆が静かになるのを待ってから始めること。
七 しっかりと前を向き、左右を向いて、会場全体を見渡しながら語りかけること。
八 言葉はゆっくり、声は腹から出すこと。
九 導入部は静かに、徐々に盛り上げ、感動的にしめくくること。
十 最後まで、決して泣かないこと。
十箇条はどれも難しいですが、一番難しいのは十である事を自信をもって言えます。
本書で何回泣いたかわかりません。こんな心温かくなったことは。
お勧めできる一冊です。