夕日の中の学校

夕方になると学校は思ったより静かだった。
昼にあんなに賑やかな、生徒の笑い声や、先生の怒鳴る声も、何かに吸い込まれたかのように、微塵もしない。

廊下を歩いて階段を昇る。
どこか窓が開いているのか、外の部活の声が微かに聞こえていた。

ここの教室からだ。
カーテンが風に吹かれて乾いた音をしてた。
窓を閉めた。また静寂が僕の周りをみたしていく。

廊下に出て反対側まで歩いて階段を下りたころ。
僕を呼び止める声がした。
彼女だった。
夕陽が後ろから当たってて、表情が見えない。
どんな子だったんだろう。
今では思い出も風化されてしまった。

途中まで一緒に帰ろ。
そう言って手を出してきた。
僕はその手を握ると彼女を引っ張るように歩き始めた。

照れながら横を見た。
そうだ。こんな笑顔だ、思い出した。

交差点で手を離すと別々の方向に歩き出した。
振り返るともう彼女はいなかった。

別れてから大分立った今、彼女のことを思い出しても、声さえ忘れ笑顔も今では過去の物。

自分の中の大切な1ページ。
時々思い出しては謝りたい、今はそれだけ。