善き考え、善き言葉、善き行い

 善き考え、善き言葉、善き行い

 この言葉を目にすると、真っ先に『ボヘミアンラプソディ』の映画内で、フレディの父の言葉を思い出す人が多いと思います。

イギリスに渡ったインド系移民であり、インドではイラン系の住人の一家。

ゾロアスター教を信仰する父がフレディに口うるさく、『善き考え、善き言葉、善き行い』の三徳を言います。

それに対してのフレディの言葉は、

それでいいことあった?

反抗的な言葉でした。

話は変わり、自分はお使いで会社へ帰る途中でした。

地下鉄から結構歩いた場所だったので、帰りの徒歩がものすごくだるく、億劫なものでした。

その時、ふとバス停を見つけます。

行き先は東京駅でした。

ラッキー。東京駅まで歩かずにいける。もちろん会社の最寄り駅ではありませんが、とにかく歩きたくなかったので、バスに乗り東京駅までワープすることにしました。

車内はまずまず混んでいて、立っていきます。

途中、日本橋を通過して、あー。ここが麒麟の翼の日本橋かー。とちょっとフムフムと思っていました。

あとは代わり映えのないビルの風景。車内に目線を戻すと大きなベビーカーの若いお母さんが座っていました。

その時、ふと思ったのでした。『ベビーカーどうやって降りんだろう』て。そんなことを思っていると東京駅に到着です。

次々とお客さんがバスから降りていく中、お母さんは最後に降りるのか、まだ座席に座っていました。

自分はおそらくバスの運転手さんが手伝ってくれんだろうと思って、お母さんより先に降りました。

お母さんがベビーカーを押し始めても、運転手さんが来る気配がありません。

バスの出口は結構な段差です。

これは無理だろ。

そして、自分は言ってました。

『お手伝いしましょうか?』

お母さんは微笑みを浮かべて『すみません』と言ってくれました。

ベビーカーを二人で慎重に持ち上げ地面にゆっくり降ろします。

お母さんはお礼を言うと、ベビーカーを押して人混みの中に消えていきました。

(ちょっといいこといたかな)正直そんなことを思っている自分がいました。

東京駅の正面に久々に来ました。

あー。東京だなー。なんて意味のわからないことを思っていましたが、会社に帰ることに。

その後も歩くのが超億劫なので、自転車で帰りました。

その他の区でもあるのですが、千代田区で『ちよくる』と言うレンタルサイクルがあります。

(ちなみに事前登録が必要です。)

それで、キコキコ帰ります。10分も走らないうちに会社に到着です。

あとは近くのポートという専用の自転車置き場に置いて返却でOKです。

夕方にまた外出することがあって、会社の前の信号で待っていると。

『すみません。』

声のする方を向くと、インド?ネパール?人ぽい人が立っていました。

話をすると(相手の方はとても流暢な日本語です)。あるビルに行きたいらしく。

スマホを出して住所を見せてくれました。

英語表記ですが、自分にもなんとか読み取れました。あとはグーグル先生に聞きます。

Google mapで検索するとすぐそこなので、一緒に行って案内することにしました。

目的地に着くとビル名を指差してここだと言いました。

その外国の方は、丁寧なお礼を言って中に入って行きました。

親切をすると気分がいい。正確に言うと自分の中では元気になるような幸せな気分でした。

そして、ふと思いました。

これって三徳じゃないかな。

善き考え。相手に対して、ベビーカー降ろせるかな? 無事に目的地に着けるかな。

善き言葉。相手に対して、ベビーカーを降ろすの手伝いましょうか? 目的地に案内しましょうか?

善き行い。相手に対して、手伝ってあげる。案内してあげる。

規模はQueenとその他のアーティストが行なった。ライブエイドには比べ物にならないほど小さいけど。

三徳てそんなに難しいことでもないし、周りに沢山あるんだなと感じた瞬間でした。

フレディは父と、三徳によって親子間の溝を修復します。

自分の中でも何かが埋まって、満たされたようなそんな感覚になった一日でした。

三徳でいいこと。あるんですよ。

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