軍艦島というふるさと

テレビで、軍艦島こと端島の住人だった人たちが、端島を訪れたことをニュースでやっていた。
約40年ぶりだという。
今では廃墟のたたずまいだが、住んでいた人たちには鮮明に当時の建物が見えていたのだろう。
ある人は、写真を一枚取りだし、撮影した場所に重ねてみていた。
写真には三人の少年の笑顔と、壁画が写っていた。壁画はまだ健在で、古びてはいたがきれいに残っていた。
その人は、同じところでまた写真に、自分の笑顔とともに壁画をおさめていた。
やっぱり昔の思い出は色あせない。
自分はアルバムというものはないので、重ねて見ることはできないけれど。
昔見た風景を見に来たくなった。
自分にはまだ大切な風景があるから。それに対して、津波や原子力で大切な風景を奪われてしまった人たちが、気の毒に思えたニュースだった。