日本テレビで天気予報を伝えている気象予報士。木原さんはこんな話を昔していました。
その日ある地域では豪雨となり災害が起きやすい天気でした。
木原さんは天気を伝える際に、現在の豪雨は非常に危険な状態で早めの避難をしてくださいと話しました。
その頃。木原さんの天気放送を見たある娘さんが田舎の実家にいる母親が心配でした。住んでいる家の場所は、裏山が崖に接しており、がけ崩れが発生する危険性が高まっていました。
娘さんはテレビで雨が強くて、がけ崩れが予想されると言っているので避難所に避難してくれと話をしました。でも話をしても母親は家が心配だから避難したくないの一辺倒でした。
いくらテレビで放送していると何回も連絡しても返事は同じでした。困り果てた娘さんはその地域のお寺の和尚さんに連絡して母を説得してくれないかとお願いしたのです。和尚さんは早々に母親の家に行き、娘さんから非難する様に頼まれて来たこと伝え避難する様に話しました。流石の母親も信頼している和尚さんがわざわざ来てくれたので、そのまま追い返す事も出来ず渋々避難所に避難しました。
その後まもなくです。裏山が崩れ家は土砂に流されたのです。

木原さんはその話を聞いて、私たち気象予報士はデータを元にどんなに一生懸命テレビで伝えても、身の危険が迫っている人を避難させる事ができなかった。地元の和尚さんの信頼度にかなわなかった。私たち気象予報士は実は一方的に伝えるだけで、画面の向こうの視聴者に信頼されていなかったと痛感しました。
気象予報士の在り方が問われる事例であり、いかに生活に入り込んで信頼してもらうのか。今後の課題になると話していました。
トカラ列島の十島村で希望者の島外避難が開始されましたが、色々な都合で避難できない。しない人もいます。過去の三原山の大噴火でも全島民避難の時でも、東京電力の発電所が暴走しないために職員が数名島に残りました。
今は一刻も早い地震活動の終息ですが、地震津波監視課長の会見ですらいつまで続くかは申し上げられない。予測ができない気象庁と不安に心が衰退している住民との溝をどう埋めるのか、今回もテレビで伝える側の信頼が試される時だと思います。