雨の中の紳士

急に雨が降ってきた。帰り道。

自分は慌てて傘を開いて駅までの道を歩いていました。

前を見ると足の不自由な男性が傘をさしていたが、雨に濡れながら歩いていました。

雨は強く降っていて、体は濡れています。

駅の入り口に着くと。エレベーターを呼びます。

階段でもいいのですが、足元が滑りやすいし、まだ膝も本調子ではなかったにで使うことにしました。

エレベーターのドアが開き中に入ると、先ほどの男性がちょうど駅の入り口に着きました。

自分は

「ゆっくりでいいですよ」

と言ってドアを開けて待ってました。

その男性もエレベーターに入り、自分はドアを閉めました。

「雨急に強くなりましたね」と自分が言うと。

「そうですね。急だったので少し雨の当たらないところにいたのですが、濡れてしまいました」

と言って男性は、ハンカチを出して首のあたりを拭いていました。

エレベーターも下に着き自分がドアを開ける。

男性を先に下ろした時に自分はふと思い出しました。

「お気をつけて」

これはもちろん前回の紳士の受け売りです。

相手も。「ありがとうございます」

何だか少し嬉しそうに降りていった。

ほんの少しだけど。気分が良い。帰りの道もなんだか清々しく感じたていました。